投稿日:2024年3月10日 / 更新日:2024年3月10日


〇日本デジタルゲーム学会 2023年度 学会賞

三宅 陽一郎(みやけ よういちろう)氏

推薦理由

三宅陽一郎氏は2004年よりデジタルゲームにおける人工知能の開発・研究に従事し、現在は株式会社スクウェア・エニックス AI部 ジェネラルマネージャー/リードAIリサーチャーの任にある。その他、東京大学生産技術研究所特任教授、立教大学大学院人工知能科学研究科特任教授、九州大学客員教授、東京大学先端科学技術センター客員上級研究員等も兼務しており、幅広いフィールドで活躍する研究者である。本学会においても理事として永く貢献をしており、広報委員長として会員募集やアウトリーチ、海外との連携等において積極的に活動をする他、国際ゲーム開発者協会日本ゲームAI専門部会設立(チェア)や、人工知能学会編集委員会副編集長・シニア編集委員、情報処理学会ゲーム情報学研究会運営委員など、他の学会においても重責を担っている。また、近年では「スクウェア・エニックスにおけるゲーム開発資料発掘プロジェクト[SAVE PROJECT]」を主導し、産業界におけるゲームアーカイブの分野においても大きな貢献がある。

対象となる業績

『大規模デジタルゲームにおける人工知能の一般的体系と実装 -FINAL FANTASY XVの実例を基に-』、『戦略ゲームAI解体新書』、『ゲームAI技術入門』他多数

受賞者コメント

この度は学会賞を頂きましてありがとうございます。今回、授与して頂いた遠藤雅伸学会長(2020年度学会賞)は、もちろん僕が初めて買ったゲーム(『ゼビウス』)の作者でもあり、長年(2008年から)一緒にこの小さくも希少な学会を大きくして来たリーダーでもあります。感動ひとしおです。ありがとうございます。また会員の皆さま、理事の皆様、御礼申し上げます。また歴代の学会長であります先生方には特にお世話になって来ました。本学会を創設され、日本のデジタルゲーム研究の端緒を作られた馬場章先生(2010年度学会賞)、本学会を誰もが参加しやすい開かれた学会として整備された細井浩一先生(2015年度学会賞)、国際化と学会のさらなる飛躍を成し遂げた岩谷徹先生(2017年度学会賞)、法人化を実現され学会の永続的な基盤を作られた中村彰憲先生(2020年度学会賞)のご指導のもとで活動してまいりました。深く御礼申し上げます。これからもゲーム研究に精進いたします。皆様、これからのご指導、よろしくお願いいたします。

※三宅氏からの受賞コメント本文はこちら

〇日本デジタルゲーム学会 2023年度 若手奨励賞

高橋 志行(たかはし むねゆき)氏

推薦理由

高橋志行氏は、デジタルゲームとアナログゲームをまたぐ研究者として稀有な存在感を示してきた。 高橋氏は、2000年代より、アナログゲームのうち特にテーブルトークRPGに関する研究に長年取り組み、多彩な研究を発表してきた。海外の主要な理論家であるゲイリー・アラン・ファインの仕事を国内に紹介するとともに、ビデオゲーム、アナログゲームの双方のアーカイブに関わり、立命館大学ゲーム研究センターのアーカイブ構築に貢献したのち、現在はアナログゲームミュージアムの理事を務めており、デジタルゲームにとどまらず多様なゲーム文化を統合させる上で、今後も重要な貢献をしていくことが期待される。

対象となる業績

  1. 髙橋志行. 2019. 「盤上の同一性,盤面下のリアリティーズ:会話型ロールプレイングゲームにおけるゲーム論×相互行為論」(松井広志ほか 2019『多元化するゲーム文化と社会』ニューゲームズオーダー所収)
  2. 髙橋志行. 2022.「今井哲也作品と『メギド72』:その相通ずる美点について」『ユリイカ』 54(13): 224–232.
  3. アナログゲームミュージアム(https://analoggamemuseum.org/)の運営 ※2021年より団体設立・運営に関わる諸々の業務を担当
  4. 立命館大学ゲーム研究センター活動参加(2016年~2020年)

受賞者コメント

ビデオゲーム研究とアナログゲーム研究を相互に往来してのアカデミックな思索は、今後ますます重要になると考えています。私自身の研究遂行能力のみではその可能性を耕し切れていませんが、DiGRAJにおいてそうした模索の方向性含めて評価されたことに、大きな希望を感じております。このたびはありがとうございます。

〇日本デジタルゲーム学会 第14回年次大会 学生大会奨励賞

藤田 慶(ふじた けい)氏

受賞予稿:プレイスタイルを考慮した FPS の自動バランス調整テスト手法の提案

推薦理由

本研究は、従来の研究では難しかった点を、複数の手法を組み合わせた解決しようとする新規性の高いものであり、被験者実験による評価も含めて手法の検討が行われており、ゲーム業界への貢献度が期待される研究として、受賞に値するものといえる。

髙松 美紀(たかまつ みき)氏

受賞予稿:NPC とは何モノか?- ノンプレイヤーキャラクターに対するプレイヤーの認識の GTA 分析 –

推薦理由

プレイヤーがゲーム内でNPCをどのように認識しているのかを、質的研究の手法を用いて詳細に分析し、4つの認識様態を明らかにした。従来の二元論を超えた、NPCに対する認識の複雑性を示した点が高く評価される。