投稿日:2024年3月4日 / 更新日:2024年3月4日


「第11回 ゲーム教育SIG勉強会:知恵の継承アプリにおけるモチベーションとその持続のメカニズム」を開催 (2023/7/21)

こんにちは。4月からSIGに所属させていただいております、東京大学大学院学際情報学府M1の犬田です。日本デジタルゲーム学会ゲーム教育SIGは、7月21日に、第11回勉強会をオンラインで開催しました。プレゼンターは古市先生で、「知恵の継承アプリにおけるモチベーションとその持続のメカニズム」というタイトルで発表していただきました。

この発表の背景として、古市研究室に所属されている進士多佳子さんが、家族間協調によるライフヒストリ記録システムの開発で、FOST新人賞を受賞されたことがあります。
「知恵の継承アプリ」とは、従来ならば、記録されないまま失われてしまっていた知恵を、コミュニケーションを通してトピックカードに記録し、共有することによって継承するアプリケーションです。言葉による記録だけでなく、画像や動画による記録もできるそうです。さらに、アバターと話すだけで、その会話内容を要約し記録する機能も開発されているとのことでした。
利用例としては、家族間での我が家の味を再現できるレシピの共有や部活動での先輩から後輩へのコツの伝授などが挙げられていました。以下のリンクに様々な利用例が書かれているので、ぜひ確認してみてください。
知恵の継承アプリ 利用例:https://www.furuichi.com/…/chieno-keisyou-app-2023.html

問題点としては、直感的に有用性を感じることが難しく、どう世に広めるか定まっていないことが挙げられていました。その問題に対して、ゲーム研究で用いられることが多いフロー理論を引用しながら、知恵の継承アプリの目的や有用性について検討されていました。今後は、古市研究室の重点研究課題として本システムの実用化に向けて開発を進めていくとのことでした。
発表後のディスカッションの時間では、知恵の記録は当事者ではなく、むしろ周りの人が行っていく必要があるのではないかという意見が出ました。そして、お葬式の際に、関わりのある人から語られるお話を記録することで、周りの人から見た当事者の知恵を継承することができるのではという話にもなりました。またパターン・ランゲージという都市計画、街づくりの際に用いられる知識記述法を参考にすることができるのではないかという意見も出ました。最後には、知恵の継承アプリによって、名前の意味の記録など家族間で共有されるべき知識が共有され、家族の協調がより円滑に行われるようになってほしいという話になりました。

次回勉強会は、9月に「2023年日本デジタルゲーム学会夏季研究発表大会の注目セッションの振り返り」を行う予定です。ぜひ次回の報告記事もお読みください。それでは。