投稿日:2023年3月21日 / 更新日:2023年3月22日


〇日本デジタルゲーム学会 2022年度 学会賞

古市 昌一(ふるいち まさかず)氏

日本大学 生産工学部数理情報工学科 教授

古市昌一氏は、三菱電機(株)情報電子研究所大規模交通シミュレーションシステム、ウォーゲームシステム等の研究開発に従事した後、2002年から同社鎌倉製作所においてIEEE 1516 HLAの標準化活動、モデリング&シミュレーションの事業に従事された。また、2002年にはシリアスゲーム構築技術としてIEEE 1516 HLAの標準化活動に貢献している。2008年に日本大学に着任後には、シリアスゲーム構築技術を世の中に普及させるべく様々なシリアスゲームの開発・研究を行っている。その成果は、「経験と知識の家族間シェアを促進するライフヒストリ支援システム(2022/10)」「シリアスゲームジャムの継続的実施に基づく運営指針の提案(2022/04)」「経営の意思決定に資するビッグデータ表示法の提案と評価 ―マーケティング・ビジネスゲームを例に―(2021/12)」などがある。

本学会においては、2018年から本学会の理事を務め2022年から副会長を務めている。さらに、本学会の大会運営には2015年の夏季研究大会委員長を始め実行委員として関わる貢献が大きい。加えてシリアスゲームの発展と教育のため2014年からに開催している、日本デジタルゲーム学会教育SIGの活動のシリアスゲームジャムの実行委員長及び実行委員を歴任し開催に尽力されている。

以上の理由から、日本デジタルゲーム学会賞にふさわしいと判断し、ここに推薦するものである。

〇日本デジタルゲーム学会 2022年度 若手奨励賞

小出 治都子(こいで ちとこ)氏

大阪樟蔭女子大学 学芸学部化粧ファッション学科 専任講師

小出氏は、顔学、少女文化研究の立場から、主に女性向けゲームを対象とした研究成果の報告を本学会で継続的に行ってきた。また、博物館学の分野においても活躍は目覚ましく、博物館に学芸員として勤務していた経験を活かして、デジタルゲームの展示分野において成果を積み重ねている。特に「ゲーム展TEN」(2018)「ギャラクシアン→ギャラガ→ギャプラス展」(2019)「『三国志』水魚之交」展(2022)等のキュレーターとして、産官学を連携した意欲的な展示を数多く実施してきたことは高く評価されており、アウトリーチに関しても「CEDEC2022」、「国際ARCセミナー」など数多くある。さらに、これらの経験を活かして、文化庁メディア芸術事業ゲームアーカイブ分野においてもアーカイブ利活用調査部門の責任者として、我が国のデジタルゲーム文化の発展のために尽力している。
他方で、小出氏は本務校である大阪樟蔭女子大学の博物館教育を統括する立場でもあり、デジタルゲームをはじめとする現在進行形の分野が持つ固有の課題に向き合った博物館教育を担っている。以上から、デジタルゲームと博物館に関わる実践・研究・教育のそれぞれの面において、パイオニアと呼べる稀有な存在であることは疑いようがない。
本学会においても7回に渡る研究報告があり、学会運営に関しても2021年以降、研究委員として大会運営に関わるなど貢献が大きく、次代を担う若手研究者として若手奨励賞にふさわしいと判断し、ここに推薦するものである。

福井 昌則(ふくい まさのり)氏

徳島大学 高等教育センター 准教授

福井昌則氏は、日本デジタルゲーム学会の会員歴は2019年12月からと比較的短いが、デジタルゲームのイメージ尺度、創造性とゲームの利用と満足などについて、すでに4本の論文を『デジタルゲーム学研究』に発表している。また、DiGRA2019、DiGRA 2021など、査読付き国際学会でも発表している。
さらに、2021年4月より編集委員としても貢献いることから、若手奨励賞にふさわしいと判断し、ここに推薦するものである。

〇日本デジタルゲーム学会 日本デジタルゲーム学会 第13回年次大会 学生大会奨励賞

西村 明美 氏(大阪公立大学)

「国民文化とCOVID-19の流行がゲームモチベーションに与える影響」

推薦理由:近年の社会状況を踏まえた研究である。また心理学分野・ゲーム研究分野の先行研究を厚く調査しているとともに、方法論・結論ともに妥当性がある。とくに、自身の採用した分析法に対しても批判的思考を貫く態度は顕著に誠実であると言える。今後、さらに発展した内容を原著論文としてまとめ、発行することを期待できる。

佐々木 唯衣 氏(日本大学)

「白内障手術体験シミュレータ“シロ”の開発」

推薦理由:医療福祉に関する体験ゲームは少なくないが、本研究は白内障手術の体験に視覚VRを用いるものである。VR技術においてとくに発展している視覚VRの特性を考察して開発したものと思われ、研究戦略は非常にスマートである。このような研究が可能であることを示すことにより、今後の別領域への適応も考えられ、発展性において特に顕著であり意義の大きい研究である。

(共著者)
渡邉雅子 (日本大学)
喜内瞭 (日本大学)
髙橋龍世 (日本大学)
粟飯原萌 (日本大学)
古市昌一 (日本大学)