投稿日:2024年8月13日 / 更新日:2024年8月13日


「第17回 ゲーム教育SIG勉強会:ステルス教育ゲームと “ゲームと教育”の未来」を開催
2024/7/26(金) 20:00-21:45

 こんにちは。東京大学大学院学際情報学府修士2年生の犬田悠斗です。ゲーム教育SIGでは、2024年7月26日に、第17回勉強会をオンラインで開催しました。今回は、「ステルス教育ゲームと “ゲームと教育”の未来」をテーマに勉強会を行いました。参加者は10名でした。
 今回の勉強会では、はじめに後藤誠先生(Game for IT, Inc.)からステルス教育ゲーム「Tashikani」の紹介をしていただきました。その後、川村景吾先生(フリーランス)から「ゲームと教育の歴史」について発表していただきました。

■発表
・後藤誠先生 ステルス教育ゲーム『Tashikani』の紹介

 後藤先生から、今年の6月1日に発売を開始したゲーム『Tashikani』を紹介していただきました。
『Tashikani』は、数字を並べて10の倍数を作る落ちものパズルゲームです。こちらからSteamでダウンロードできます。
 後藤先生は、このゲームを開発するにあたり、「遊びとシリアス(学び)のバランス」を特に意識されました。より具体的には、遊びとして考え突き詰めることそのもの自体が学びになるように意識されました。
 子どもがハマるようなゲームデザインで、かつ算数の要素をクリアに必要不可欠な形で組み込むことができたことに、一定の手ごたえを感じられていました。今後は、対戦モードの導入や学校での利用についても検討される予定です。ご興味のある方は、ぜひダウンロードして、一度遊んでみてください。

・川村景吾先生 ゲームと教育の歴史と展望
 次に川村先生から、デジタルゲームと教育の歴史について発表していただきました。
1980年代には、ファミリーコンピュータとMSXが発売され、それに呼応する形で教育用ゲームも発売されました。ファミリーコンピュータでは、任天堂から『ポパイの英語遊び』が、東京書籍からは『計算ゲーム』シリーズが発売されました。MSXでは、コナミから『I Loveシリーズ』が、東京書籍からは『ラスコムメイト』が発売されました。
 2000年代には、PlayStationで『I.Q Intelligent Qube』が発売され、「パズルゲームを知的娯楽へ」という動きが活性化しました。また、アーケードゲームの「クイズアカデミー」が流行し、全国規模での知識対戦が行われるようになりました。2010年代は、スマホゲームが頭角を表し、四字熟語などの知識を利用したゲームが人気になってきました。
 現在から未来の展望としては、河合塾などでAI学習システムが開発されているように、今後はAIと学習ゲームが組み合わさっていく流れになると予測されていました。
 また、川村先生は、主張として、ゲームの活用はきっかけ作りと親和性が高いと発表されました。ゲームと学習の文脈では、「ゲームで学ぶ」と「ゲームは学ぶきっかけである」という2つの軸がありますが、ゲームは学習になる必要はないのではないかと疑問を呈されていました。加えて、ファミリーBASICや『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』に代表されるように、ゲームとプログラミング学習の親和性は高いと主張されました。


 今回の報告記事は以上になります。次回勉強会は、9月20日に行う予定です。ぜひ次回の報告記事もお読みください。それでは。