投稿日:2008年11月28日 / 更新日:2013年3月27日


碁AIにおける革命「モンテカルロ木探索」とは何か?
(DigraJ公開講座08年11月期)

2008年11月28日(金) 12:00 受付終了

開始時間 18時00分
定員数 120人 (予約数 60人)
予約締切時間 2008-11-28 12:00

追加情報: 当日の発表資料は、ダウンロードページにて公開しています。

デジタルゲームにおいて必要とされる人工知能には、主に

(i) 連続的な空間でリアルタイムに進行するAI
(ii) 離散的な空間(例えばマス目やヘキサグラムで区切られた空間上)でターン制で進行するAI

に区別されます。

後者のボードゲームにおける人工知能は、ゲームAIの歴史にとっても、人工知能の歴史にとっても、その発祥から続く長い研究の歴史のある分野であり、さらにその中においても、チェス、将棋、囲碁におけるAIは、その深いゲーム性ゆえに研究者の意欲を喚起し、歴史的に継続して研究され、進化して来た分野です。

ところが近年、将棋においては「ボナンザ法」、囲碁においては「モンテカルロ木探索」という革新的な手法が発見され、この分野の開発者・研究者に大きな衝撃を与えました。特にコンピュータ囲碁界においては、CrazyStoneとMoGoの与えたインパクトは長年(15年程度)の停滞を一気に打ち破る、非常に大きなブレイクスルーでした。最も手数が多く難解とされて来た囲碁において、限定した9路盤(9x9に制限した囲碁盤)上とは言え、「モンテカルロ木探索」によって初めてプロ棋士に勝利したというニュース(2008年)が、世界中のゲームAI関係者に強い衝撃を与えました。

「モンテカルロ木探索」とは、非常に端的に言えば、ある一手に対する評価値を、その手を固定してそれ以降の手を、ランダム、或いは、ある程度の思考ルーチンで、終局まで打ち尽くすことを繰り返して得られる勝率から求める手法です。これは、囲碁やオセロがある程度ランダムに打っても終局へたどり着くという、将棋などにはない囲碁の特性を利用した手法です。

11月の公開講座では、モンテカルロ木探索によって今、囲碁AIで何が起こっているかを理解し、今後の様々なゲーム開発において広く展開して行くことを目的として、研究者、開発者からこの分野で著名な3人の講師をお迎えし、最先端の技術的な内容とその効果を平易に解説して頂きます。

まずゲームAI研究全般について解説して頂き、その後、「囲碁におけるモンテカルロ木探索」の理論的背景について、そして、最後にプログラミング実装の手法について解説して頂きます。

最先端の分野においてまとまった知識を学ぶことができる貴重な機会でございますので、ゲーム開発者、この分野に興味を持つ方、そして学生の皆様に、広くご参加頂きたいと思っております。

■参考情報: 以下の資料を予習されることをお薦めいたします。

① 革新的なAI囲碁プログラム『Crazy Stone』 (wired vision)
わかりやすい形のニュースで解説されています。
http://wiredvision.jp/news/200705/2007051121.html

②「エンターテインメントと認知科学研究ステーション」
第5回招待講演
http://minerva.cs.uec.ac.jp/~ito/entcog/contents/lecture/date/20080614.html

「エンターテインメントと認知科学研究ステーション」
(伊藤毅志先生が主催)
http://minerva.cs.uec.ac.jp/~ito/entcog/
において、囲碁AIにおけるモンテカルロ木探索を扱った講演会で、モンテカルロ法の資料が充実しています。

囲碁AIにおける革命、モンテカルロ法とは何か?
(IGDA日本 y_miyakeのゲームAI千夜一夜)
http://www.igda.jp/modules/xeblog/?action_xeblog_details=1&blog_id=884
司会者(三宅)が上記の講演会に出席して書いたレポートです。

③ 羽生善治、伊藤毅志、松原仁著 「先を読む頭脳」(新潮社)
http://www.shinchosha.co.jp/book/301671/

④ 清 愼一、山下 宏、佐々木宣介著 「コンピュータ囲碁の入門」(共立出版)
http://www.kyoritsu-pub.co.jp/shinkan/shin0511_02.html

⑤ YSSと彩のページ
http://www32.ocn.ne.jp/~yss/index_j.html

※今月の公開講座より、受付時の混乱を避けるために、受付では入会および会費納入手続きを行わないこととなりました。
入会手続きはウェブサイトより行い、会費納入は銀行振り込みにてお願いいたします。
また、入会申込書もフォーマットが改定されましたので、ご確認下さい。
詳細に関しましては、下記のページをご参照下さい。

http://www.digrajapan.org/modules/eguide/event.php?eid=3

<概要>
■講師:
伊藤 毅志 (電気通信大学 情報工学科 助教)
美添 一樹 (科学技術振興機構 研究員)
山下 宏 (囲碁プログラマ)

■司会:
三宅 陽一郎 (株式会社フロム・ソフトウェア)

■予定:

18時    伊藤毅志「ゲーム情報学から見たコンピュータ囲碁」(30分)
18時30分 美添一樹「モンテカルロ木探索 理論編」(50分)
19時20分 休憩(10分)
19時30分 山下 宏「モンテカルロ木探索 実践編」(50分)
20時20分 質疑応答(20分)
20時40分 伊藤毅志「まとめ:ゲームAIのこれから」(10分)
20時50分 終了

懇親会  21時00分〜

■開催日時:
2008年11月28日(金)18:00開始 20:50終了
※受付開始時間は17:30です。
混雑が予想されますので、お早めにご来場ください。

■場所:
東京大学本郷キャンパス
※詳しい会場につきましては、決定し次第改めて会員の皆様にお知らせいたします。今しばらくお待ち下さい。

※会場が決定いたしました。ご確認ください。

東京大学工学部2号館4階246号教室
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_04_03_j.html

■定員:
120名(予約が定員に達した場合、当日参加受付はありません)

■参加費:
日本デジタルゲーム学会 正会員・学生会員:無料
日本デジタルゲーム学会 賛助会員(一口あたり代表者3名まで):無料
非会員:1,000円
(当日 受付にてお支払いください)

※領収書の宛名が参加登録者名義と異なる場合は、必ず下の申し込みフォームにご入力ください。入力がない場合、登録された氏名で領収書が発行されます。当日の領収書発行には応じられない可能性がございますので、よろしくお願いいたします。

■懇親会:
公開講座終了後、別会場において軽食とお飲み物を用意し、簡単な懇親会を開催する予定です。
会員間の交流を図るまたとない機会です。皆様の奮ってのご参加をお待ちしております。
※懇親会費として別に1,000円を頂戴いたします
(日本デジタルゲーム学会会員含む)。