投稿日:2014年3月14日


○日本デジタルゲーム学会賞:今年度は該当なし

 

○日本デジタルゲーム学会若手奨励賞:

玉井建也氏(東京大学)

受賞理由:

 玉井建也氏は、コンテンツを歴史的・地理的な立場を研究し、ゲームを含むコンテンツが社会において産み出す様々な現象の解明と歴史的成立の解明を目標にして来た。近著である論文「コンテンツツーリズムの歴史的展開」では、エンターテインメントとしてのコンテンツツーリズムを歴史的な成立の過程を解明して見せた労作である。この成果は2009年から続く、個々のコンテンツと地域性の研究事例をベースに研究した4 つの論文の成果の上に成り立っている。コンテンツの持つ地域性に対する考察を軸として、中世~江戸~近代~現代を貫く透徹した視点は、コンテンツの成立の歴史を明らかにしてみせる独創的なものであり、現代でコンテンツを産み出す意味と影響を明らかにしてくれる。現代に釘付けされた視点をはがして、デジタルゲームを含むコンテンツをより大きな視点から見渡す視線を提供する、学術、産業、双方に渡る重要な業績であり、かつ先駆的である。

 また氏は、東京大学の教員として、日本デジタルゲーム学会創立当時からの立役者の一人であり、特に東京大学に本部があった時代を通して一貫して実務の中心を果たした人物である。特に、学会誌の作成においては、氏は編集幹事として創刊時から現在に至るまで、編集業務から、パブリッシング、予算運用を一貫してこなしており、氏の献身的な活躍なしには、2007 年から現在に至る10 巻に及ぶ学会誌の出版は考えられない。

 以上、研究業績と学会における長期に渡る活躍を踏まえて、学会賞・若手奨励賞にふさわしいと判断し、推薦するものである。

吉永大祐氏(山形大学)

受賞理由:

 吉永氏は、昨年のデジタルゲーム学会夏期研究発表会、本大会で全く異なる題材の発表を行った。それらはこれまでのデジタルゲーム学会ではほとんど取り扱われない題材を創意溢れる方法で調査・分析されている。

 夏期研究発表会における「「四八ショック」とは何だったのか−インターネット上のゲームユーザーコミュニティにおける「クソゲー」概念とその変容−」では、インターネット掲示板「2ちゃんねる」のKOTY(クソゲーオブザイヤー)スレのログデータについてテキストマイニングを用いて分析し、KOTY スレの合意形成方法や非表示に共起される語の出現パターン等を示すことでこれまでの印象論のみのゲーム批評分析に量的分析の手法を取り込んだ。

 本大会の「「行政広報ゲーム」の現在と可能性:日本の行政機関におけるシリアスゲームの調査から」では官庁や自治体が自分たちの活動内容を周知するために制作されるゲームを「行政広報ゲーム」と名付け、その現状と問題点を指摘した。吉永氏の専門は科学技術社会論であり、専門分野で用いられている様々な手法を駆使することでデジタルゲーム学会の研究分野の地平を拡げたことを高く評価し、ここに若手奨励賞として推薦するものである。

 

○日本デジタルゲーム学会学生大会奨励賞:

福山佑樹氏(早稲田大学大学院)

受賞理由:

 独創的なテーマを発見し、かつそこに完成度の高いゲームを製作、さらに実施検証を行いデータ分析をし、考察し、次への展望が書かれている。研究の筋道がエレガントであり、全体としてオリジナル性と完成度が高く、これから探求すべきテーマを豊富に含んでいる。課題にあげているように実際にメンターを行っている教員の意見を聞き取り、実用になるものを開発してほしい。これまでの研究成果、そして将来性を踏まえて推薦するものである。

佐藤啓壮氏(東北福祉大学健康科学部)

受賞理由:

 論文は、ロコモティブシンドロームの予防を目的として、Kinect を用いた高齢者向けの体感型ゲームソフトを開発し、高齢者を対象に実験した結果について述べている。実験では、研究の目的に合わせて、高齢者を対象とした実験を行っており、評価も統計手法を利用して有意差をでており、ゲームの楽しさがうまく活かされた結果になっている。54 名の被験者を対象とし,ユーザ特性も分析されており、非常に貴重なデータである。研究テーマ、先行研究の参照、評価手法、十分な統計など、高いレベルの研究である。これからの研究の方向も明確にしている。価値の高い研究である。

大竹駿希氏(日本大学大学院生産工学研究科)

受賞理由:

 Kinect を使うことで、身体性とゲーム性という二つのテーマをつなぎ、さらに、それを実社会の中で役立てようとする研究である。テーマのオリジナル性、オリジナルな実験のアイデア、十分な考察と未来への展望など、論文が読みやすく詳細に書かれている。また,実際に高齢者施設での評価実験を行い、そのときの問題点の抽出,改善点の考察などもあり,論文構成もわかりやすく内容も十分である。